先日、NHKで放送された「SONGS」の宇多田ヒカルスペシャルを見たので私も今一度彼女のつむぐ言葉を見直したくなり、こうしてブログを書いています。
中学生時代に大いに憧れていた彼女。
その魅力を子供の頃は「なんかかっこいい」くらいしかわからなかったけど、今回の番組が「言葉」にフォーカスをあててたのがとても面白くて哲学好きの部分を刺激されました。
止まない通り雨かぁ・・・。
以前にあゆこと浜崎あゆみさんの楽曲について書いてから、いつか書こうと思っていたので今回のめぐり合わせに感謝。
otomegokoro-teatime.hatenablog.com
今回は執筆の相棒spotifyで宇多田ヒカルシャッフルしながら、歌詞サイトで好きな表現を抜粋していくスタイルにしようと思います。
出だしの「~誰だってそんなつもりで泣くんじゃないよね」から掴まれました。
全体的に励まし系の歌詞なんだけど、サビの「明日へのずるい近道はないよ」も好きです。
*Movin'on Without you
「構うのが面倒なら早く教えて私だってそんなに暇じゃないから」のとこが中学時代になんか印象に残ってました。クールだけど強がり。
中学時代にすごい好きだった曲(ませがき)。「変わらない愛情なんてない不安があるから強くなるし」と「キスより抱きしめていきなりやめないで」がドキッとして好き。物語とか少女漫画の話をSONGSでしてたけどこれもそういうことかな。
*Wait&See~リスク~
この曲も当時すごい好きだった。最初の「だってつまづきながらって口で言うほどラクじゃないでしょ~」のところの「もっといい雨が降るから」の意味がまだわからない。最後の「キーが高すぎるなら下げてもいいよ」が当時印象的だった。
*タイム・リミット
「仮に何事にも終わりが~」のところは、真夏の通り雨みたいに「終わりが来ないまま」になってしまうことを現している?
*「For You」
全体的に「孤独」を歌っているのと気になる表現がところどころにある一曲。
出だしの「ヘッドフォンをして人ごみに紛れると~」のところは、番組で言っていた通り部屋で一人でヘッドフォンで聴いてる図しか浮かばないの発言にリンクする。どういった状況でファンが聴いているかはいろんなシチュエーションがあると想像すると語っていたアーティストさんもいたので印象に残った。私自身は確かに部屋か外で一人で聴くことが多いな。
「君の存在で自分の孤独確認する」や「君にも同じ孤独をあげたい」あたりに、「君」への複雑な感情を感じる。大切だけど傷つけたい、同じがいい。でも君に頼りたい、依存したいわけじゃないという感情。「誤解されると張り裂けそうさ」が誤解の受けやすい愛情なのを歌っている。難解でまだ考察の余地がある曲。
綺麗事を全て否定しているような歌詞が逆に真理を突いていて印象的な曲。このへんは「第2章」といった感じで暗めな歌が多いのだけどたまにすごく聞きたくなる。番組でも1曲くらい触れてほしかったな。「今さえあればいいと言ったけどそうじゃなかった」は「あなた」のサビに反した内容だと思う。
「誰かの願いが叶うころあの子が泣いてるよみんなの願いは同時には叶わない」は本当にその通りだ。人間関係があれば必ず喜ぶ人の裏に悲しむ人がいる。
これはこのときの彼女の本音だったんだろうし、表現に嘘があると「ださい」と思って納得いくまで直すのが音楽を作ることと言っていたからこの曲はその言葉がしっくりくると思う。
*Passion
この最後の「ずっと前に好きだった人冬に子供が生まれるそうだ」のあとの「昔からのきまりごと」っていうのは日本の慣習のことだろうか?子供が生まれて幸せ、年賀状は写真つきってのは私はつまらないと思う。テンプレの幸せをなぞりたくなかったのかな?このときの彼女は今の私と近いかもしれない。
*Keep Tryin'
「どうでもいいって顔しながらずっと祈っていた」の「祈り」は番組でもキーワードになっていた言葉だ。変わらない目まぐるしい環境の変化から脱することを祈っていたと。また、初恋の象徴は両親だと思っていたと語っていたのも、この曲の歌詞に「お父さんお母さん」が登場することに関係しているのではないか。
このあたりの楽曲は「家族」の在り方に関して問うているものが多く感じる。
言葉が韻を踏んでいたり遊びがきいてもいる。
内容は王道のラブソングなんだけど歌詞がシニカルなのがタイアップの「花男」のヒロインにも合っていたしヒッキーらしさがあってよい。
「ありがとうと君に言われるとなんだかせつない」と「ダイヤモンドよりも温かくて柔らかな未来」が印象に残る。
こちらも全編通して印象の強い楽曲。
「満ち足りてるのに奪い合う愛の影を追っている」ここの愛の影とは。
「あなた」がいれば孤独でも辛くても平気だと思えた私がいる一方で、友の存在がある。「私」と「彼」と「親友」の3人が出てくると捉えるべき歌詞だと思う。
これもドラマのタイアップだからなんとなく相関図の予想はつくが、ノンタイアップなら考察が難しい歌詞ではないか。
復帰後のアルバムを偏見で聴いていなかったので、今回の新作と同時に聴いてみたくなった。(すっかり丸くなってしまっていたら嫌だなと思って避けていたが、その心配はなさそうだ。)
根底にある孤独は変わらず、小田和正氏が言っていたように「彼女の表現はあの頃のみずみずしさを残しながらますます深くなっている」ようだ。新作を聴くのが楽しみである。