「世界には推ししかいないんだ。」

2・5次元の感想や俳優の茶の間ライフ中心にアイドルや声優についても書いてるブログ。

アニメ「推しの子」6話「エゴサーチ」たくさんのネットユーザーに観て欲しい。

 今週放送・配信された推しの子アニメ6話について書いてみました。

 この回は私が初めて原作漫画を読んだ回だったので思い入れがあるし、この回がツイッターのトレンドに入ってなかったら読んでもいなかったのかなとすら思います。

 簡単に言うとこの回の肝は「ネット炎上」です。ネットいじめとかにトラウマがある方は他人事として見れない可能性があるので避けることをおすすめします。

 そのくらい描写がリアルで見ていてしんどかった。

 映像になって声優さんの声があてられることでセリフの意味が増したようにも思った。

 話題になってるから見てないという人も1話はよかったけどそのあとは見てない人も、1話以来の手に汗握る展開なのでぜひ見てほしい回でした。

 原作では何話かに分割されるエピソードだけど、アニメでは1話で描いてくれたのも個人的にはめっちゃよかったポイント。

 

 ここからネタバレ含みます。見てほしいのでほんとはネタバレしたくないんだけど・・・ネタバレ見たら満足っていうの私はあまり好きではないです。

 作品に込められた作者の気持ちだったり、アニメ制作陣の気合いや想い、声優さんの素晴らしいお芝居をぜひ見てほしい渾身のエピソードでした。

 

 恋愛リアリティーショー編の山場となるエピソード。

 爪痕を残せないでいた劇団ララライ看板女優の黒川あかねが収録中、共演者のゆきの顔に傷をつけてしまうことからはじまる炎上回。

 番組上ではゆきとあかねの友情という描き方をしたものの、キズをつけてしまったことやあかねが目立つためにゆきといい感じの男子を狙う行動に視聴者は納得できなかった。

 SNSで飛び交う罵詈雑言。死ねと軽率に発するネット民たち。

 あかねは食欲を失い、家族にも言えず事務所にもツイートを止められ、学校でも陰口をたたかれるようになる。それでも演劇のレッスンや学校生活をがんばる彼女だったが、ある台風の夜突然それはぷっつり切れてしまった。

 リアリティーショーのグループラインで「ちゃんと食べてる?」と心配されたあかねはご飯を食べていないことに気づく。

 「買いに行ってくるね」と返信するあかねを「台風ひどいから」と止めるメンバー。

 外に出てしまったあかねは、ふと歩道橋の手すりに足をかける。

 (このあとの展開は本編でお楽しみ下さい)

 

 これが今回のおおまかなことの顛末。

 漫画で読んだときは、言葉が人を殺すということについてすごく考えさせられた。

 本編でも有馬かなが9割のアイドルはエゴサしてるよ。バンドマンや役者も打ち上げで全員スマホ見てるのは圧巻。と発言するようにエゴサは瞬間的に本人に届く、あまりに飾り気のない、時に悪意に満ちた感想だ。

 自分もアイドルや俳優の推しがいることが長いが、幾度となく知っている役者やアイドルがひどい言葉を知らぬ人たちから発せられてるのを見てきた。

 本人の普段のがんばりを知りもしないくせにと頭にきたことは一度や二度じゃなかった。

 ネットのこういった野次みたいのは、外野の憂さ晴らしだと思っている。

 アイドルたちもちゃんとわかっている。けれど、今回のあかねのように炎上に免疫がなかったり、仕事がうまくいかず悩んでるときに炎上したら、あかねのようになってしまう芸能人はきっと大勢いるのではないか。推しもまた人間であるから。

 (今回のアニメの描写では、配信者であるMEMちょが「謝罪は燃料を注ぐだけ」と焼肉の場で発言していたことが描かれているが、炎上する前のあかねとは無縁だったのだろう。仕事熱心な彼女はきっとメモを取っていただろうけど。)

 (マネージャーは謝罪ツイートをする前にチェックできなかったのは、劇団員ならではの管理が甘い証拠。アイドルならツイートの時間や内容は厳重に管理されていることが多い)

 

 私もツイッターが合わなくて辞めたクチなので、余計にこの回は刺さるのかもしれない。流すことができなくて謝罪したり、そこまでではなくとも攻撃的なツイートをするフォロワーを見て気にしたり。

 芸能人をやるからにはSNSのノウハウは絶対に必要だが、個人的に向いていないタイプのタレントはマネージャーのチェックを通してから更新するとかマネージャーがアカウントを管理するパターンも最近は多い。

 

 正直、リアリティーショーのメンバーのほうがあかねに本当に優しく、仲間として仕事していて・・・一般人(視聴者)のほうがよっぽど般若のよう。

 

 エゴサをしたことであかねのファンと思われるツイートを目にするも、「努力している劇団での彼女を評価していたが今回のことでそれすらも演技のように見えてしまった。もう推せない」というものがあった。

 アンチの工作かもしれないが演出としては、本当のファンだった線が強いと思う。

 本当に評価してくれていた人の手のひら返しのほうが今の彼女には堪えるから。

 このシーンは本当に胸が痛かった。

 「私たちはプライベートの推しのことも何を内心思っているのかもわからないから、ずっと信じて味方で居続けることが難しいのよなぁ・・・」と心から思った。

 きっと自分も思い込みでファンを辞めたり、ネガティブな感想を発信したこともたくさんあるなぁと反省。ブログなので本人に引っかからないでくれたら助かる。

 

 最近アイドルを見ていて、配信などで「ネットニュースになる」とか本人たちが自虐に使ってしまっているのも悲しい。

 炎上したらどうするとか、ただでさえ窮屈なのに・・・というニュアンスのことをぽろっとこぼしていたのを見たこともある。

 推しは完璧じゃない。

 プライベートの交友関係にまで口を出されたり、いるかわからない恋人の存在を勘ぐられたり、発信した言葉やふるまいひとつで性格が悪いだの言われたり・・・ほんと推しが今日もアイドルやっててくれてありがとうという感謝しかない。

 推しが推しでいてくれる日は当たり前ではないのだ。

 

 ドルオタとしてやるせない気持ちになりながら見た回だった。

 ここでアニメ推しの子ならではの小ネタをいくつか。

 

 ゆきが女子メンバーたちにネイルをやってあげるシーン。

 これアニメで気づいたけど、自爪だったら頬にひっかき傷はつかないから、意図的に入れてあるシーンなんだね。

 (あかねはネイルするキャラではないし)

 

 推しの子、特に1話で「嘘は愛」という大きなスローガンを掲げている作品。

 しかし、アクアが「リアリティーショーは外野が思うほど、作り込みすぎてもない」というようにリアリティーショー編では「リアル」が大事にされているの面白い。

 (この番組では職業アイドルと名言されてる出演者もいない。ダンスボーカルユニットっていうのだけいる)

 

 先述のアクアの説明にしろ、かなちゃんの説明にしろ、ルビーのエゴサ履歴にしろ、アイドルや役者界隈に疎い人にもより伝わりやすく説明されているのすごい!

 漫画はタイトルやあらすじからある程度「推し」というカルチャーが身近な人が読むことが想的されているけど、アニメはもはや誰しもが見る環境にあるもんね。

 (ネトフリでも配信されてるし。海外のアニメファンとかにも伝わりやすい)

 一連の流れを1話にぎゅっと纏めた構成力、脚本にも大拍手。

 

 余談ですが、ジャンプ+で原作読んでたのでカラーを目にすることが少なく、あかねの髪色が青っぽい黒っていうのは知らなかった。

 あの髪色のアニメキャラ珍しいよね。

 

 スマホを手にしたことによって、より簡単に不満を瞬時に世界に拡散できるようになった世界で人を傷つけずSNSを使うことは難しいのか。

 世界平和と同じくらい難しいんじゃないかとすら思って、震えた。

 リアルでのネットいじめなんかも問題視されてるし、もっと厳しく取り締まるべきなのかな。でも言論の自由はどうなるんだとも思うし。

 人類が全然テクノロジーを使いこなせてない、悪用し放題なんだよね。

 

 韓国の芸能界での自殺のニュースもよく流れてくるし、言葉は人を殺すってことをもっと身近に感じて発信をするべきだよね。

 そういう問題定義の意味でもすごく価値のある回だったと思う。